ナゴルノ=カラバフ停戦

非常に血なまぐさい様相を呈していたナゴルノ=カラバフの戦闘がロシアの仲介で一応止まったようです。アゼルバイジャンとアルバニアは停戦で合意し、ロシアが2,000人規模の平和維持軍を派遣するようです。

11月10日夜、プーチン大統領、アゼルバイジャンのアリエフ大統領、アルメニアのパシニャン首相は停戦声明に署名しました。アゼルバイジャンはスーシャを含め今回の戦闘で占領した地域を維持し、アルメニアは1988-1994年の戦闘で占領し、現在支配しているカラバフ周辺7地域を来月アゼルバイジャンに順次返還することになります。カラバフ自体に関しては、アルメニアが支配を維持し、アゼルバイジャンは軍を撤収しますが、1988-94年の戦争でカラバフから追い出されたアゼルバイジャン難民はカラバフに戻ることが認められる模様(数十万規模と言われますが。。。戻る先はあるのでしょうか)。

アルメニアはカラバフ周辺地区を順次返還、トルコはバクへの陸路を確保

カラバフはアゼルバイジャン領内の離れ小島となりますが、カラバフとアルメニアを結ぶラチン回廊はアルメニアが維持し、ロシアの平和維持軍がそれを守るようです。同様に、停戦合意ではアルメニア領土内にあるアゼルバイジャンの飛び地であるナヒチェヴァンとアゼルバイジャンとの交通路が保証されることになります。ちなみにロシアから派遣されるのは中央軍管区のサマラ州ロシチンスキィを拠点とする第15独立親衛自動車化狙撃旅団の部隊のようです。

停戦合意にはアルメニア内で大きな反対と混乱が起こっているようですが、戦場での圧倒的な劣勢から考えてパニシャン首相は受け入れざるを得なかったでしょう。また、アゼルバイジャンからするとカラバフ自体を奪還したいところでしょうが、今回は外堀を埋めて、難民の帰還によるアゼル化の道筋も付けたところでトルコ・ロシアの意向に従ったというところではないでしょうか。結局、以前紹介した「ロシアの声」フォーラムでのプーチン大統領の発言通りの決着になったわけですが、あの前後にトルコのエルドアン大統領と落ちどころをすり合わせていたと見られます。

全般的に見るとナヒチェヴァン経由でバクとの直接的な陸路を開いたエルドアン大統領が最も大きく勝ったと言えそうです。アルメニアは一方的な負け。影響力の拡大を狙っていたイランは後退。プーチン大統領は、、、面目を失う事態は免れたものの、トルコの勢力拡大で居心地が良いとは言えない決着ではないでしょうか。

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