ナワリヌイさん帰国、そして拘束

ロシアの反体制派リーダーのナルワヌイさん、予告通り1月17日にロシアに帰国しましたが、ロシア当局も予告通りナワリヌイさんを空港で即刻逮捕したようです。

ナワリヌイさんは横領容疑で執行猶予付きの有罪判決を受けていたのですが(もともとは欧州人権裁判所が無効としていた有罪判決をロシアの裁判所がごり押しの再審で有罪としたものですが)、猶予期間中の2ヵ月に一度の出頭義務に反したというのが今回の逮捕の根拠となっているようです(毒殺されかけて、ドイツで治療中であったため出頭できるわけがありませんが)。

拘束されるナワリヌイさん

今後、ナワリヌイさんがどうなるか、というのは当局の意向と、それに対する反発の強さに依存すると思われます。当局の意向はもちろん、当人を消すというオプションを除けば、可能な限り長期間にわたって投獄するということでしょうが、2013年の有罪判決の際には反対派の過激なデモを受けて判決の翌日には執行猶予で突如釈放したという前例もあり(ソチでのオリンピックを控えて、当局が大きな問題になることを避けた、というのが大方の見方ですが)、反発があまりに強くなることは避けると見る向きも多いようです。

R-Politikのタチアナ・スタノワヤさんは、当局はおそらく最終決断は急いでおらず、投獄の可能性による圧力を維持したまま、釈放するのが理想的なのではないかとしています。当人が大人しくしていない場合は、人質を取ることもできる、とスタノワヤさんは述べています(以前にも当局はナワリヌイさんの弟をこれまた疑わしい罪状で3年半投獄しています)。

また、一般からの反発があまりに強い場合には、エリート層の間での分裂が生じる恐れがあり、それもブレーキになる可能性があります(例えば、2019年のモスクワ市長選に際しては、与党統一ロシアの評議会の元議長で、ロステックCEOのセルゲイ・チェメゾフ氏が弾圧をやんわりと批判しています)。

機内でのナワリヌイさん夫妻

しかし、一方ではFSB(以前のKGB)などの強硬派は、はるかに厳しい措置を主張する可能性が高いと見られています。現在はコロナウィルスの感染拡大防止を口実に、反対派の活動を封じるのも比較的容易であると考えられることから、以前の新興財閥のミハイル・ホドルコフスキー氏のように10年にも及ぶ刑を科して、ナワリヌイ氏の問題に一気にカタを付ける可能性があるとする向きもあります。

いずれにしても、少なくとも、今回の出頭不履行に関する裁判所の決定までは、拘束されることだけは確実なようです。


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