昨日公表されたロシア中央銀行の年次報告書によると、同銀行の外貨準備で金準備がドルを歴史上始めて上回りました(2020年6月末時点)。
2020年6月末時点において、ロシア中銀の米ドル換算での外貨準備は5,611億ドルで、そのうち金準備は1,285億ドル(22.9%)、米ドル建て資産は1,246億ドル(22.2%)と、金準備がロシア中銀の歴史上始めて米ドルを上回っています。
2018年以前はロシア中銀の外貨準備は、4割以上が米ドル建て資産でしたが、米国の経済制裁強化を受けて、その後はユーロ、人民元、そして金などの比率が高まっています。一方でドル建て資産は激減しており、2018年初めには1,000億ドル規模の保有であった米国債は、昨年10月には60億ドル程度にまで減っています。
金準備が外貨準備に占める比率はは2018年まで10%台の中盤でしたが、金価格の上昇もあって昨年はほぼ23%に達しています。ロシアの外貨準備で最大の比率を占めるのはユーロで29.5%であり、その他は人民元が12.2%、英ポンドが5.9%、日本円が3.9%となっています。
外貨準備高は自国経済・通貨の安定のため、万が一の事態の備えとなるものですが、世界的に見るとロシアは中国、日本、スイスに次ぐ規模の準備高となっています。3兆3,000億ドルを上回る中国や1兆3,000億ドルを上回る日本と比較すると小さく見えますが、ロシアの名目GDPは現在韓国と同程度なので、経済規模との比較ではかなり厚いとも言えます。