ロシアの反体制派リーダーの1人のアレクセイ・ナワリヌイさんの毒殺未遂事件から4カ月ほど経過していますが、ロシアの世論調査機関の「レバダセンター」が興味深い世論調査の結果を発表しています。
全体で見ると、78%の人が事件について知っている(注視している17%、聞いたことがある61%)と回答しています。事件の真相については、30%の人が仕組まれたでっち上げ、19%の人が西側情報機関の謀略と回答しており、ほぼ半数のロシア人がナワリヌイ氏側の主張に否定的な見方をしていることが示されており、テレビなど主要メディアでの当局側の宣伝が奏功していることが見てとれます。また、反体制派内部の内紛との回答も6%あり、半数以上が「当局支持」とも見ることができます。
一方で、当局による反対派排除の企みだったと回答したのは15%、汚職などに対するナワリヌイ氏による追及の対象になった有力者からの個人的報復と回答したのは7%にとどまっており、全般的に政府寄りの見方が浸透していると言えます。
ただ、事件を注視していると回答した人(全体の17%)の間では、当局による反対派排除と回答した人が39%、仕組まれたでっちあげとの回答が24%と逆転しており、詳しく情報を追っている人の間では当局に対する懐疑的な見方が強くなっています。
また、さらに対照的なのが年齢層による差で、18~24才の若年層の間では、当局の仕業と回答したのが34%、有力者による個人的報復との回答が17%と現体制に批判的な見方が合計で半数以上となっており、西側の謀略は11%、でっちあげとの回答は9%と当局側の見方を支持するのは20%にとどまっています。逆に55才以上の回答者では、当局の仕業は9%、有力者による個人的報復は4%に過ぎず、でっち上げが40%、西側の謀略が26%となっています。まあ、現体制に批判的な若年層と、保守的な高年齢層というのは、西側諸国とよく似た構図と言えなくもありません(ここらへん最近の日本とは違うところかも)。
他には、回答者が信頼するメディア別の回答も示されており、テレビでは体制側を支持する見方が多く、ネットを信頼する回答者の間ではナワリヌイ氏側の見方を支持する比率が高くなっています。
別の見方をすると、当局はどのような情報でも同じ情報を繰り返し流すことで、過半数の人々の見方に影響を及ぼすことができる一方で、ネット情報などへの依存度の高い若年層が課題とも言えます。そういう面では、ロシアでの中国スタイルのネット規制導入への動きは今後も一段と強くなるとみられます。